松田の数寄屋造り
松田工務店は、創業当初から伝統的な数寄屋造りをつくり続け、日々、腕を磨いています。私たちは、日本建築の美と数寄をとことん追求されたい方からのご相談を心よりお待ちしています。
数寄屋造りとは何でしょうか。
数寄屋造りと聞いてどんな住宅を思い浮かべるでしょうか。現代では、高度な建築技術の用いられた高級和風住宅を指すことも多いですが、元々は「好みに任せてつくった家」といった程度の意味だそうです。数寄屋造りの「数寄」は、当時、道楽を意味した「好き」の当て字だとされています。
数寄屋造りは、当時、主流であった書院造を堅苦しいと感じていた千利休に代表される安土桃山時代の茶人らが、床の間の段差や床框、長押など様々な意匠を廃し、簡素の美を見出した書院造よりさらにシンプルに仕上げたのが原点とされています。そのシンプルさを土台として、自由に「好き」を追求した家が数寄屋造りなのです。
決まった様式がなく捉えづらい数寄屋造りですが、共通する特徴が全くないわけではありません。素材そのものの良さを生かす加工や、部屋に陰翳をもたらす深い庇、木目の美しい杉丸太の使用などがよく見られ、いずれも日本独自の簡素の美や侘び寂び、陰翳礼讃といった感性が辿り着いた形といえます。
数寄屋造りが、私たちの原点です。
初期の松田工務店は、ときに予算が億を超えるような、技術的に難しい数寄屋造りの住宅を多く手がけてきました。その過程で建築技術を高めるとともに、日本建築が日本特有の気候に適応するために築いてきた知恵や、簡素、余白、陰翳といったものに対する美意識などを学んできました。
なお、私たちは数寄屋造り本来の簡素と自由を現代に暮らしに合うように解釈し直し、1番の障害であった費用を抑えつつ形としたコンセプト「松田の数寄屋」もつくっていますので、ご興味のある方はぜひこちらのページも合わせてご覧ください。
それでは以降、私たちの数寄屋造りの事例を2つピックアップしてご紹介します。
山間にたたずむ、月見台のある家
家族構成:夫婦
階数:地上2階
延床面積:230.31 ㎡
屋根と壁の長さと色が美しい比率の外観です。木々と適度な距離を保つよう贅沢な余白を取っています。
和室より中庭を見ます。高い技術力を求められる唐傘天井が簡素なまま格を上げます。
玄関から庭を見ます。写真右手の無双窓からは風と光が優しく入り込み、玄関に心地よい明暗を生み出します。
喧騒から離れて自然に囲まれた中で、静かに月を眺めるための月見台です。秋の夜長にここから見る月は、息の飲むほど美しいです。
内と庭が連続的につながる家
建築が主張しすぎず、庭の中に溶け込むような外観に仕上げました。
出かけるときは光に誘われ、帰ってきたときは心地よい薄暗さに落ち着ける、そんな光の工合をつくりました。細部に光る、職人の技にも注目してください。
内と庭が連続的につながる縁側です。家の中でありながら、同時に外でもあるため、四季の移ろいを常に感じられ楽しめます。