「リビングから外につながる濡れ縁がほしく、情緒ある暮らしがしたい」
お施主様から頂いたご要望は、まさに日本建築が長い歴史の中で育んできた内と外をつなげるという思想そのものです。四季の豊かな環境で暮らしてきた日本人は、くれ縁や濡れ縁といった縁側を家にもうけ、夏の夜には涼しい夜風にあたり、秋の夜長は月見をしたり庭の虫の声を鑑賞し、春は庭に咲いた花を家の中から眺めたりと、まさに季節の情緒を感じて暮らしてきました。迷わず、コンセプト「松田の数寄屋」をもとに、情緒ある暮らしを目指して家づくりを進めていくことになりました。
全体に無垢の木をふんだんに使い、落ち着き、自然を感じる空間にし、暮らしの中心となるリビングには大きな窓をつけ、リビングの中にいながら窓を額縁として、四季折々の移ろいを絵画のように楽しめるようにしました。ご要望の濡れ縁をその外側に広くとりつけ、大人数が同時に語り合える、家族がつながる場としました。
お子様がまだ小さいということもあり、お子様用の2部屋はワンルームとして作りつつ、成長に合わせて仕切って分けれるようにつくりました。造作建具にカラフルな和紙を貼ることで、落ち着いた空間の中に一部、お子様が楽しめる明るい雰囲気をつくりました。